feature. 名品はこう生まれた。MAAGZの物作りへの信念。

八王子駅から程なくしてある一軒のシェアスペース「桶屋」を拠点に、オリジナルデザインで勝負をし続けている、MAAGZというブランドがあるのをご存知でしょうか?
RAPCAという焚き火台を筆頭にスタイリッシュでありながら機能性にもしっかり考慮された物作りに定評のあるブランドです。
このクリエイティブの源は何なのか、その真髄に迫ります。

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MAAGZの正体は
キャンプギアブランドではない!?
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八王子市にある周囲の建物とは少し違う雰囲気をまとった一軒家、ここがシェアスペース「桶屋」。
2階建構造の1階がMAAGZの運営会社フロントビジョンが入っており、一部を間借りして運営しているとのこと。エントランスを入ると製品が並び触れられるようになっています。
1階に奥にはインド料理を提供するバー、2階はシェアハウスとシェアオフィスも併設されています。

2階の共有スペース。観葉植物が多くリラックス空間となっています。シェアハウスの1室。
多種多様な人が入居することが多いんだとか。オフィスとあわせて全5部屋からなる。

1階にあるバーと、一押しのインド料理「パニプリ」

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新たな価値を提供しないと、
自分たちが存在する意味がない。
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ここからは株式会社フロントビジョンの社長兼MAAGZ責任者の日野さんに、MAAGZの物作りへのこだわりを聞いてみたいと思います。

|WEB制作会社を母体としながらMAAGZやアウトドアメディアも運営されています。ブランド設立の経緯はどんなところに?

元々WEB制作会社を私がしており、たまたま桶屋に集まった初期メンバーがキャンプ好き、彫刻家、プログラマーだったりして、自分たちでキャンプギアを作れそうだ、となったのが事の始まりです。メディアを運営しているのは、MAAGZの認知を広げるために始めました。他社さんのレビュー記事もあるんですが、キャンプにおける必要な機能やデザインを知るためでもあって、オリジナリティを生み出していくための重要なプロセスでもあります。

|デザイン力の根源である、MAAGZの信条をお聞きしたいです。

自分たちは唯一無二の製品を世に出していきたいと考えています。主力商品である焚き火台関係は、彫刻家の高石がデザインをし、機能面のクオリティは私がチェックする、という形で進めました。

高石はアウトドアの常識を知らないので耐久性があるかどうかギリギリを攻めるんですよね。試作の量は老舗のブランドさんよりかなり多いと思います。ですが、後発である我々が新たな価値を提供できるとしたら、こういった事をしていかないと意味がないと思うんですよね。次は、桶屋の近くに木製家具のデザイナーがいるので、その人と一緒にファニチャー系は出したいなと思っているんです。どんなものが出来るのか、私たちも今からワクワクしています。

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物作りの現場から。
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桶屋の1階奥にはMAAGZの工場があり、ここから名品が誕生し世に出て行った、まさに現場。溶接場やプレス機、在庫置場、そして芸術家である高石さんの作品も置かれています。

パーツの溶接は社内で行う体制が整っており、そのほかプレス機や3Dプリンタなどの機器が所狭しと並んでいます。この場所で数えきれない程のアイデアが生まれ、試作を重ねてきました。MAAGZの製品の多くがここで誕生しているのです。

炎をじっくり楽しめる「JIKABIDAI」

スライド機能で見せるイメージです。

新製品の焚き火台「JIKABIDAI」。雑誌Fielderとのコラボ企画で、ロングファイヤーをテーマに、長く炎を楽しめる焚き火台を目指して製作されました。デザインのインスピレーションは、自社製品の肉焼き棒「RAPCAスティック」から。スタンドの形状を元に、バックパックを背負って山の中に入っていけるようなコンパクト性も兼ね揃えたデザイン性を探求したのだそう。デザインはMAAGZのフラグシップモデルである「RAPCA」を手がけた芸術家 高石優真氏によるもの。

デザインの元となった「RAPCAスティック」。焚き火台の上に設置して使用します。

デザイン面と機能面がある程度形になったらCADに起こして試作品の製作に着手。

400年の伝統工芸を
キャンプギアに昇華した「モクシェラ」

400年続く石川県の山中塗という伝統工芸品を作り続ける畑漆器店とのコラボアイテム「モクシェラ」。中でも轆轤挽きと呼ばれる、日本古来の伝統技法によって一つずつ丁寧に作られたものに、アウトドアで使いやすいようにシェラカップのようにアップデートさせている一品です。一般的な多きさのシェラカップにはまるサイジングの「モク小皿」はトレイ型と、蓋にもなる平型の2サイズを用意。素材は木の密度が高い山桜を採用。

動物の糞はよく燃える!?
着火剤「ANIMAL LIGHTER」

自然保護の観点から出来た、「自然との循環」をテーマにした着火剤。じつはこれ、草食動物のフンを高温処理して粉末にしたものをプレスし、パラフィンを混ぜて出来たもの。全国の動物園や牧場と提携し、乾燥した状態で桶屋まで運ばれてくるんだとか。これを自前のプレス機で一つずつタブレット型に成形させる。動物園と提携しているだけあって、動物のレパートリーはウシやキリン、バクなどから選択可能。売上の一部は動物保護基金団体に寄付しています。

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ブランドの裏側取材、続きます。
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ふだん見る素敵なMAAGZの数々のアイテムは、このようにして一つ一つ丁寧に作られていることがお分かりになったのではないでしょうか。VINOVERでは、全国にある素敵なブランドの裏側を引き続き取材していく予定です。次回はどのブランドになるのでしょう…お楽しみに!

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