feature. 塗装のプロ集団が本気でオリジナルにこだわった『NATURE TONES』のクラフトマンシップ

ガレージブランドという言葉が生まれる少し前、2013年より福井県の自社工場で物作りを続ける人気ガレージブランド『NATURE TONES』は、VINOVER ユーザーの方であればご存知のはず。本業は塗装業である会社であるにも関わらず、キャンプ好きが講じて物作りをはじめたブランドが、全国で品薄が続くほどまでに成長したその秘密に迫ります。

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北陸の雄・NATURE TONESの
物作りのこだわりとは?
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物作りを行っている企業であれば、何かしらのこだわりを持っているもの。では、人気ブランド・NATURE TONESのこだわりとは何なのか? それを一言で表現するならば「オリジナリティの追求」にあります。一見既視感のある言葉ですが、そのこだわり様は目を見張るものがあり、製品が完成しても、そのタイミングで類似品が世に出てきたことがわかればお蔵入りにするというクラフトマンシップあるブランドなのです。それまでに何度も構想を重ね、サンプル製作費用もかなりかけていることは優に想像できますが、そこまでこだわるワケとは? 広報担当の坂下氏に話を伺いました。

坂下賢太郎。古着屋スタッフを経て、NATURE TONES入社。現在は直営のショップ店長を務める傍ら、広報や営業活動など幅広く活躍している。

|なぜここまでオリジナルにこだわるのでしょうか?

その理由は単純で「キャンパーさんの課題を解決したい」からです。私たちは、製品開発の会議を会議室ではなくキャンプ場に出かけてイチキャンパーとなって行なっています。なので、類似品であっても自分たちが解決したい課題がすでに解消されていれば、それまでにどれほど時間と費用をかけていたとしても世に出すことはありません。
製作過程をSNSで公開することもあるので、海外で自分たちよりも早く模倣品を出されちゃったことも実際にあるぐらいなんです(汗)。

|すごいこだわりですね…! では、物作りの技術面で信念としていることはありますか?

それには3つあって、1つ目は「遊び心」です。例えば、うちの製品は素材に鉄を使うことが多いんですが、その場合、重量を軽くするためにくり抜くんですね。でも単純にくりぬいても面白くないので、デザイン性を持たせています。最近は大樹柄にしているのですが、斜めから見るとわかるんですけど、下の天板が幹で、上の天板が枝と葉の部分という風な具合です。おまり大きくは謳ってないんですが、お客様が使っている時に気づいてくれたら嬉しいな、なんて思っています(笑)。

|本当だ! 斜めから見ると大樹になっていますね。これはお恥ずかしながら気づかなかった…。2つ目は、どんなことを?

2つ目は、遊び心にも通じるんですが、「ワンタッチで変形できて、ひと工夫あるギミックを入れる」ことです。コンパクト性に重きをおくのであれば分離式がいいのかもしれませんが、キャンプは車で行くことが多いですし、コンパクト性はある程度あればいいかなと思っていて、それ以上に設営・撤収のしやすさを重要視しています。
はじめてでもすぐに組み立てられる設計だと嬉しいじゃないですか。それに、雨が降っている時にすぐに畳めると楽だなと思った体験もあったりしました。

|分離式のパーツをなくす、なんてことも“あるある”ですよね(笑)。それでは最後の3つ目を教えていただけますか?

はい、最後は本業でもある塗装業の技術を生かした鉄のコーティングです。鉄の切りっぱなしではなく、海外から特別な塗料を取り寄せてコーティングしています。本業がコーティング屋だからこそ、フィールドでの最適解がわかるんです。
知見生かせば、サビにくさを付与したり、デザイン性も上げることができるんですよ。最近は、少しだけゴツゴツさせた“梨地”にして、肌触りもよく、物が簡単に落ちないストッパーの役割もしてくれるようにしています。

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新作のワンハンドカフェテーブルは、NATURE TONESのこだわりを詰め込んだ力作。
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|新作のテーブルがいくつか出ていますね。その中からイチ押しはありますか?

そうなると、このワンハンドカフェテーブルですね。先ほどお話しした3つのこだわりがわかりやすく表現された自信作です!

ピクニックテーブルという商品がもともとあって、その進化版という位置付けです。天板は大樹柄、コーティングは梨地。そして一番こだわったのは持ち運びのしやすさです。ワンタッチでテーブルを設置できるんですが、自分たちがイメージしたのは、グルキャンをした時に自分のサイトから友人のサイトにすぐに移動するシーンでした。こういうときって、素早くギアを持って移動したいじゃないですか。それを叶える仕様になっています。

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次回のブランド深掘りはどこへ…? -

自分がキャンプをしていて、“こうだったらいいな”を形にしているまさにNATURE TONESらしい一品と言えるかもしれませんね。天板の閉じ方もスムーズにして、ワンタッチだけどデザインとしても美しい設計は目を見張るばかりでした。

前回はMAAGZ 、そして今回はNATURE TONESに取材を敢行してきましたが、まだまだブランド取材は続きます。次回はどのブランドなのか、乞うご期待ください!

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