本当の“コスパがいい”とは何か。「CWF」が考えるモノづくり

1976年に福島県にて創業した「キャニオンワークス」。名だたるブランドのOEMなどを請け負う会社として成長、2011年の東日本大震災をも乗り越え、今ではオリジナルブランド「CWF」を運営するまでに至っています。今回取材したCWFは、培ってきたその技術を活かしながら、独自のアイデンティティのもとモノづくりをしているブランドです。その真髄に切り込みます。

CWF誕生のきっかけは、
東日本大震災。

キャンプで使える収納関連のラインナップを有しているブランドは多くあれど、そのカテゴリーをメインに据え置いているブランドはそう多くありません。なかでもCWFはギアのようなバッグをコンセプトにした稀有な存在。どのようなバックボーンを持っているのか気になったVINOVER編集部は、クリエイティブディレクターであるアクタガワタカトシ氏に話を聞きました。

|CWFの母体であるキャニオンワークスはOEMを主体とするメーカーのようですが、どのような経緯でブランドをはじめられたのでしょうか?

浪江町に拠点を構えていたキャニオンワークスは、2011年の東日本大震災に起因する原発事故によって立ち入り禁止区域となってしまいました。工場をいわき市に移し、少し経った2017年に復興支援プログラム『ふくしまみらいチャレンジプロジェクト』が立ち上がり、コンサルタントとしてキャニオンワークスに派遣されたのが、私がキャニオンワークスと関わりはじめたきっかけでした。

OEM事業で自衛隊や消防などの装備の製造も請け負っていて、技術力は折り紙つき。特に厚手のものの縫製に優れていました。そういった背景もあり、ブランドコンセプトを“強度が重要になるギアっぽいバッグ”としたんです。

|指針である「ロングライフタイム」という言葉には、どのような想いが込められているのでしょうか?

メーカーとしてのバックグラウンドもあり、長く使えるモノづくりを徹底しています。物への愛着が湧くこともありますが、それが究極のエコだなと。これは持論ですが、製品を資源化してリサイクルできることはもちろん素晴らしいのですが、その工程には莫大な費用とエネルギーを要します。果たしてこれはエコなのか? と思ってしまうんですよね。だったら、代々受け継げるほどの強度な物を作った方がいいんじゃないかと。

さらには、日本製で、なおかつ国内で修理まで対応してくれるバッグメーカーってじつはほとんどないんですよ。ブランドの生い立ちもそうですが、物作りの方針としても稀有な存在として文化を醸成できればと思います。

CWFを象徴するギアバッグ。

まさに職人芸の製造力を持つCWF。アイテムの企画は多くのブランドやアイテムを見てきたアクタガワさんがディレクターを務められていることもあり、目を見張るものばかり。なかでもおすすめの3つをご紹介します。

TENT HOUSE M

付属の収納袋だと入れづらいものもしばしば。そこで開発されたのが、1つ目にご紹介する「TENT HOUSE M」です。開口部が広く取られており、幕を入れるのもストレスフリー。メインコンパートメントのほかにペグやガイラインを入れておけるポケットも備え付けられているのも嬉しいポイント。

このアイテムの優れた点は、メッシュ素材で通気性に優れ、カビの発生や生地の劣化の心配が軽減されているところ。さらに極めつけは、海難救助用の道具に使用される生地を採用したことで、高い耐摩耗性と引き裂き強度を誇っています。
ギアカテゴリーのなかでも最も高価格帯に位置するテントを、大切に、長く使えるようにと作られたアイテムなのです。ほかにもLサイズもラインナップあり。

KERMIT BACKPACK KIT

まじめなモノづくりと驚きの企画力。それがCWFの魅力ですが、それを象徴するアイテムが「KERMIT BACKPACK KIT」。キャンプチェアで高い人気を誇るカーミットチェアをバックパックのように背負えるキットで、この発想こそCWFらしさを感じられるアイテムです。約10L程度の容量があるので、キャンプフェスなどでこのバックパックに道具を入れて移動できたら非常にクールですね。

ALL WEATHER CONTAINER M

最後の3つ目は、CWFというブランドに欠かせないアイテム。とにかく使い勝手が良く、汎用性も高いギアバッグです。かなり厚みのある丈夫な生地を多面的に使いながらも、しっかりとした縫製の仕上げには、改めてキャニオンワークスの凄みを感じます。

もちろん収納バッグとしての機能も充実していて、内側のクッション材により中身が守られるようになっています。間仕切りも好きな箇所に設置でき、お持ちのギアのサイズに合わせてカスタムできるのも◎。

間違いない稀有なブランドCWF。

ブランドのバックグラウンドを知ってからアイテムのディテールに目を向けてみると、価格とクオリティのコストパフォーマンスも納得できます。クオリティが担保され、安心して使えるのは、やはりアウトドアの環境下では重要なこと。ブランドのバックグラウンドを知ると、アイテムへの理解度も増して購入する決めてにもなりそうです。

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